8月のWOWなプロジェクト「LINEミニアプリ」と「LINE AiCall」をご紹介します
谷口
谷口
谷口
プロジェクトを進める上でもっとも気をつけた点は、「プロセス」です。コンセプトドリブンではなく、仮説検証ドリブンで進め、サービスプラットフォームとして中途半端にならないよう、まずは勝ち筋の強い大きい領域を探して、その領域に集中することを意識しました。
もう1つ意識した点は、事業モデルです。直接マネタイズするモデルではなく、プラットフォーム自体を無料にして、間接マネタイズで収益が上がるモデルづくりを行いました。結果、1年半ぐらいかけて軌道に乗ってきたと思います。
ここからは、LINEミニアプリの事例をご紹介します。
1つ目は、オンライン会員証とEC機能です。例えば、PAL CLOSETさんの場合、ネイティブアプリとLINEミニアプリ両方を提供していますが、特に3COINS(パルグループの中でも"300円アイテム"を中心に取り揃える生活雑貨ショップ)では新規ユーザーのおよそ8割がLINEミニアプリを選択して利用しています。
企業側から見ても、LINEミニアプリの導入後に新規会員が倍増し、LINE経由のEC売り上げも前年比5倍と、良い実績を出せています。
谷口
2つ目は、順番待ち受付です。お店の順番待ちの受付をLINEですることができる機能で、非常に多くの企業やユーザーが利用しています。
例えば、ライフスタイルブランドのAllbirdsさんの場合、2020年6・7月に原宿店でLINEミニアプリの順番待ち受付を利用したユーザーは、利用者のうち8割にのぼりました。
谷口
アプリのダウンロードや煩雑な会員登録が不要であることや、オフライン・オンラインの様々な導線からすぐに利用できることなど、LINEミニアプリの特長を活かして企業へ提供しているため、しっかり利用いただいている状況を創出できているかと思います。
提供する企業も、ユーザーの使いやすいサービス利用環境や、サービスを無償提供できることをメリットと感じていただきつつ、更にLINEミニアプリで取得したデータを、LINE公式アカウントやLINE広告で活用していくことにも期待いただいています。
谷口
今後は、オンラインとオフラインを繋ぐ位置付けとして改善を重ね、「この領域といえばLINEミニアプリ」といった確固たるポジションを築きたいと考えています。
LINEミニアプリのプラットフォームに参画いただいた企業の方々に「やって良かった」と高い満足を感じていただくために、今後も仮説検証と試行錯誤をこれからも意識して、「WOW=NO.1」を目指していきます。
LINE AiCallでめざす、これからのあたりまえプロジェクト
次は、7月29日に開催されたLINE AI DAYでも注目を集めたLINE AiCallを紹介します。今回はCCAI企画チーム 細谷、徳島、DXコンサルティングチーム 小原の3名が、プロジェクトの詳細を語りました。
細谷
細谷
音声応対AIサービス「LINE AiCall」は、ユーザーが電話で問い合わせている要望に対して、AIによって自然な対話で応答することができるサービスです。
写真 、左上から時計回りに笠岡、細谷、徳島、小原。イベントでは徳島がLINE AiCallのデモを実演しました。
細谷
LINE AiCallの3つの事例を紹介します。
1つ目は去年の秋に実現した、「俺のGrill&Bakery」さんの電話予約です。単なる予約受付だけでなく、予約情報を予約台帳に自動登録して、店舗の負担を軽減します。また営業時間外やピーク時間帯でも常に電話が繋がるため、ユーザーの満足度向上にも繋がっています。
細谷
2つ目は、大分県中津市との、新型コロナウイルス感染に関する市民からの電話相談窓口の取り組みです。市民から電話を受けるほか、システム側から市民へ電話をかけることもできます。
細谷
3つ目は、先月のWOW FRIDAYで紹介された厚生労働省との取り組みで、帰国者に対して健康状態の確認を行っています。現在も、累計1万人以上の健康確認、コール数にして約18万件ほど利用していただいています。
笠岡
LINE AiCallを企業に導入してもらうときのハードルはなんでしょうか?また、対話応対のシナリオ実装におけるポイントを知りたいです。
小原
いまは新型コロナウィルスの影響で、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進しようとする企業が増えてきています。ひとえにAIといっても様々な種類があるので、企業のAIに対するイメージと我々の提案できるAIについて、まず「目線を合わせる」ところからスタートできるかがハードルです。
徳島
シナリオ実装では、AIが「察する」対応をできるように気をつけています。
例えば、レストランの予約は「日付」「時間」「人数」、これら3つの要素が必要です。システム的には、1つずつ順番に聞くのが通常の流れです。
徳島
でも、仮にお客様が「今日、予約したい」と日付のみを言ったとき、店員さんだと、既に満席の場合には「すみません、今日は満席なんです」と察して対応してくれますよね。
システムの場合は、予約に必要な3要素がまだ揃っていないため、何も工夫しなければ次に時間を聞いてしまうんです。だから、店員さんとのやりとりのような自然な流れにするために、お客様の指定した日付がすでに満席なら、人数や時間を聞かずとも「満席です」と察して断るシナリオを作っています。
また、AIが予約確認のために時間を復唱する際にもこだわりがあります。例えば、24時間制を使って復唱をした場合、「22時」なら良いですが「10時」の時はそれが午前なのか午後なのかお客様には不明瞭ですよね。一方で、午前や午後を付けると明確にはなりますが、いくら音声合成の抑揚が自然でも、お客様は音声ガイダンスのように聞き流してしまう可能性があります。
その聞き流しを防ぐために、LINE AiCallでは、午前午後という言葉をあえて使わず、「夜の10時ですね」と答えるようにしています。音声で聞く場合、「午後」と聞くよりも「夜」と聞いた方が、自然と時間帯のイメージがしやすいですよね。
イメージのしやすい言葉を使うことで、音声合成の会話でも誤解のない予約ができるようにしています。
小原
LINE AiCallの魅力は、決まった形があるのではなく、導入先である企業のユースケースに沿ってシームレスな体験ができるAIを一緒に作れる点です。
細谷
企業やユーザーのニーズに応えていこうと模索していく中で自然と良いものが生まれた、これがLINE AiCallです。LINE STYLE 2.0のキーワード、「Users Rule(全ての原点は、ユーザーニーズ)」に繋がる部分となります。
世の中のプロダクトとLINEのAIが連携することで、企業の課題を解決し、ユーザー体験の最大化に貢献していきたいと考えています。
LINEのファミリーサービスでも、LINEのAIが利用されています。
LINEらしいやり方、考え方である「LINE STYLE 2.0」を交えながら、今回は2つのプロジェクトをご紹介しました。今後も「WOW FRIDAY」のイベントレポートを通して、LINEの中のWOWなプロジェクトをお伝えしていきます!