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社内PMたちの学びの場「PMラボ」の活動共有会をご紹介します

LINEでは、全社イベントだけでなく、各部署や個人主催の社内イベントや勉強会が多く開催されています。今回は社内のプロダクトマネジメント領域における社内コミュニティ形成、制度設計、PR、採用推進を横断的に取り組む「PM Success TF」*から発足した、「PMラボ」活動共有会についてレポートします。

PM Success TF(タスクフォース)*
プロダクトの現場でプロダクトマネジメントを行うメンバーや、育成や採用に携わる人事組織のメンバーで組成された仮想組織。PMの成長環境の整備、PR、採用推進などを行なう。 社内での横のつながりの促進したり、PMに共通して求められるスキルセット、マインドセットの言語化や、成長のためのガイドやノウハウの提供などを進める。

「PMラボ」は、「ラボマスター」と呼ばれる有志が、プロダクトマネジメントに関連する様々なテーマで「ラボ」(期間限定の社内コミュニティ)を立ち上げ、そこに部門をまたいだ有志の「ラボメンバー」が参加し、皆でそのテーマの知見を深める社内の取り組みです。目的として、以下が設定されています。

PMラボの目的

  • 他者と学ぶ:他者との対話や実践、実験を通じて継続的に学ぶ場(短期〜中長期的な成長の糧になる経験を得る)
  • 実践投入につなげる:知見を得て、実践投入のための素振りをする場
  • 相互メンターと出会う:志の近い同僚や、他部門の同僚と、相互メンタリングができるような繋がりを作る場

PMラボで扱うコンセプト、専門レベル、サイズ、スタンスは多様で、テーマも自由です。活動の第一期が終了したタイミングで「ラボで何を行い、どういう学びを得たか?」をトピックに、PMラボ活動共有会が開催されたので、その模様をお届けします。

■「読書会」ラボ

LINEコンテンツ&サービスプラットフォーム企画室 岩本が「本を読んでアウトプットをする習慣を持ちたい!」と発足したラボだそうです。

対象とした本

ラボでは「読書会」までにまず事前に本を読み、該当箇所を引用しつつ「参考になった箇所」「学びポイント」「転用(自分の業務に活かせそうな点)」を共有で見れる場所に感想をまとめておき、お互いの意見を読んでから交流したようでした。

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(感想の一部抜粋。事前に各々が意見を書き、共感するポイントなどをコメントし合ったそうです。)

ラボメンバーからは「締め切りがラボ内で設定されることで、本を読んでアウトプットする習慣を強制的に作れた」という声や、「それぞれの業務を背景にした議論ができて面白い」といった、ポジティブな声が多く寄せられていました。

■あばくラボ

正式名称は「海外企業のPM職責、キャリアラダー、役割設計をあばくラボ」。Effective Team and Delivery室 横道が発足した、北米企業を中心に、PMの職責やキャリアラダーと、PM関連職種(PJM, PMM, Product Ops, Engineer, CX, Delivery Manager, TPM)の職責やPMとの役割境界について、世の中に公開されている情報を調べることを目的にしたラボです。メンバーが興味の持った分野をそれぞれ掘り下げ、毎週1回1時間ディスカッションする形式で進められたそうです。ラボメンバーから共有された調査内容や所感について、一部を抜粋してご紹介します。

北米コンサルの知見を知る

横道は、「ジュニアから一人前のPMの境界をどのように表現しているか?」に着目して情報を集めたそうです。「まず調べる中で分かったのは、『ジュニアPMの責務は一人前のPMと同じだが担当するプロダクトが小さいだけ』と定義しているものが多かったことです。つまり、ジュニアだからといって、開発の工程を分けたり役割を小さくしすぎてしまうことはないのです。また、一人前のPMに対してより求められるのはプロダクトチームやステークホルダーに対するリーダーシップやコラボレーション。『プロダクトチームから頼られる人になっているか?』と言う点も複数の定義などで登場していました。」と語っていました。

参考にしたサイト(一部)

GAFA PMを調べる

AD企画室 大岩は、中途採用やPM向けの育成研修を調査したそうです。「特に面白かったのがAPM(アソシエイトプロダクトマネージャー) Programの具体事例。新しく入ったPMが18ヶ月かけて3つのプロダクトに、メンター付きで業務に従事する社内横連携のスタイルが興味深かったです」と話していました。

参考にしたサイトやブログでのまとめ記事(一部)

新卒PMの採用要件

ECサービス企画室 大賀は、PMの新卒採用の要件を中心に調べたそうです。「一部の海外企業では、新卒採用の時点で専門職寄りの技術、学士/修士や専門的な技術が必要だったり条件が細かく設定されていたりすることは特に印象的でした。逆に日本ではそういった条件は無いものの、漠然と新卒からPMとしての入社はハードルが高いものだと思われていたりします。私自身も新卒からPMに進んだので、キャリアに悩むことが多いのですが、このラボの先輩みなさんからアドバイスや励ましをもらえて、いい経験になりました。」と話しており、斜め上とのつながりにもなったようでした。

参考にしたサイト(一部)

学術的アプローチを試みる

ビジネスプラットフォーム企画センター 門田は、プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの違いや、プロダクトマネージャーのキャリアパスまで研究出来たらなと思い文献を色々見比べたそう。「プロダクトマネージャー/プロジェクトマネージャー/マーケティングマネージャーの違いを説明している2007年の論文『The impacts of software product management』が、他の書籍や論文の引用元になっていて参考になりました。また、プロダクトマネジメント能力の成熟度を研究する論文では、実際は実務において役員がプロジェクトマネージャーへ権限を譲渡出来ていないことがあるんじゃないか?という結論になっていたものについて、会社によっては当てはまる部分もあるなと感じました。」と話していました。

■金夜ラボ

MUSIC事業部 壱岐は、あえてゆるめのラボをコンセプトに立ち上げたそうです。金曜の夜は仕事が落ち着くタイミング。事業部もバラバラだったので、ミニマム3~6人くらいで各々が抱えている課題をシェアし定期的に1時間ほどオンラインで話していたとのこと。具体的には、各組織のリーダーによって放任主義であったり、都度細かくコミュニケーションを取る形式などカラーが違うことや、コロナ禍ならではの交流方法(具体的には「oVice」というバーチャルオフィスで交流するなどが上がってきました!)がテーマに挙がったそうです。また、 Product out vs data drivenなど"意見対立をどうまとめ上げてワンチームで取り組んでいくか"というPMだからこその課題を共有して意見交流したそう。

壱岐は「日中の業務は、限られた時間内に最適解を見つけきらなければならないという決断の連続なので、このラボでは答えを見つけることを目的とせず交流を楽しみました。」と話していました。実際に期間中にラボで繋がったメンバー同士が実務でもやりとりが発生し、横連携にも役立ったそう。ラボメンバーからも「コロナ禍前までは、オフィスで共通の同僚を通じて自然と知らない同僚と話す場面があったけれども、今はなかなかむずかしい状況なので、こういう機会は貴重でした。」という感想が出ており、横のつながり作りにも有効だったようです。

■PM is PjM Lab

あばくラボにも参加していた門田は「PM=プロダクトマネージャーと思われがちだけれども、実現できないVisionになんの価値があるんだ!」と強い思いで"プロジェクトマネージャーの復興"を掲げ、このラボを立ち上げたそうです。

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まず、参加したラボメンバー内でこれまでのプロジェクトマネージャーとしての活動内容を共有したあと、各自の抱えていた課題に対してどう乗り切ったのかを社内ドキュメントにまとめたそうです。

課題&解決の一例

  • 複数組織の合同プロジェクトをどう対応した?→定期的にスケジュールしてふりかえりのきっかけを作った
  • 組織全体で1行のProduct Missionを設定するワークショップを断行してみたら?→自分ごと感が増した。

また、集まったメンバーで共通の概念を学びたいということでPMBOK 第7版を用いて、第6版からの変更点やその内容についてをキャッチアップする勉強会も行われました。

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PMBOK 7版を学んだことを基に各々の経験をまとめたそうです。)

門田は、「社内で他にプロジェクトマネージャーのコミュニティがあることも知れたので、コミュニティの輪を拡大していきます。」と語っていました。

終始にこやかな共有会で、ラボに参加していなかったPMはもちろん、参加していたメンバーも他のラボに参加したいと意欲が高まった様子でした。今後もLINE社内の様々な活動を紹介します。

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桃木 耕太

2013年にLINEに中途で入社、今は開発組織と採用組織でWebサイト/コンテンツやイベントの企画/制作などをしてます。