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【LINEインターンシップ2022】セールス職 広告事業コースの5日間をレポート!(8月開催・JR東日本)

LINEが今年開催した夏のインターンシップ中の1つ「セールス職 広告事業コース」は、LINEのマーケティングソリューションを用いて、実際のクライアント企業が抱えている課題を解決するプランをチームで考え、提案を行う5日間のイベント型プログラムです。LINEのセールスが日々行っているクライアントの課題発見から解決方法まで、企画・提案業務のリアルを経験してもらうことを目的に開催しました。今回は、202281日から5日にかけて開催したプログラムの様子をレポートします。来年以降にインターンシップの応募を検討している方や、LINEのセールス職の仕事に興味がある方はぜひご覧ください。

オリエンテーション・課題説明

本プログラムでは、JR東日本さん(以下、敬称略)課題を提供いただき、いくつかのチームに分かれ、グループワークを実施しながらLINEのデジタル技術を活用した顧客の体験価値向上施策のご提案」の作成に取り組みました。各チームにはLINE社員のメンターがき、それぞれの提案についてサポートしました

インプット

初日の午後より、基礎情報のインプットを実施しました。法人営業の仕事の進め方、LINEのマーケティングソリューションの特徴や具体的な活用例についてのインプットを行いました。

参照LINEインターン 2020」企画営業職 広告事業コースの4日間をレポート

JR東日本との取り組み・インプット

その後、JR東日本を担当するLINE社員よりJR東日本の経営ビジョンや方針などのインプットを行いました。JR東日本はグループ経営ビジョン「変革2027」を掲げており、鉄道を中心とした輸送サービスを質的に変革し、進化・成長させていくことを課題として、生活サービス事業・ITSuica事業に経営資源を重点的に振り、新たな成長エンジンとしていくことを基本方針としています。そのような方針の中で、 LINE公式アカウントをはじめとしたLINEのマーケティングソリューションキャンペーン告知やパーソナライズされた路線情報提供、買い物体験の利便性向上・DX推進などに活用いただいています。

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参照JR東日本グループ経営ビジョン「変革2027」

クライアントヒアリング

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インプットの終了後チームでのディスカッション・グループワークを経て、チームごとにJR東日本へのヒアリングを実施しました。各チームのヒアリングでの質疑応答の内容を一部抜粋して紹介します。

Q:グループ経営ビジョン「変革2027」のキーワードでもある豊かさと信頼を実現するための現状の課題を教えてください。

A:短期的な課題は、コロナ影響で鉄道収益が下がっていることです。回復しないと他の事業にリソースを割く体力がなくなってしまう点が大きな懸念です。長期的な課題は人口減少によって鉄道サービスそのものを維持する力がなくなってしまうことです。鉄道を活かした他のサービスに売上を拡大し、メインの収益をスライドさせていくことも視野に入れています。

Q:LINEからはどのような提案を期待していますか?新規性を重視していると思いますが、社会に無かったことをやってほしい、学生目線での等身大の提案をしてほしいなど、具体的にあれば教えてください。

A:新規性はもちろん、学生の立場で見た等身大の提案をしていただきたいと思っています。LINE・JR東日本を合わせるとビジネスフィールドが非常に広くなるため、双方のリソースを組み合わせ、新しいものを生み出した提案をしていただきたいです。

Q:将来的にSuicaをどのように活用されていく想定でしょうか?

A:Suicaには大きく3つ、切符・認証・電子マネーの役割があり、その中でも認証は今後伸ばしていきたい領域です。たとえば、シェアサイクルでアプリにクレジットカードを紐づけると、Suicaが鍵になる取り組みなどを行っています。認証機能は他の事業者と連携させることで、Suicaの利用機会が最大化し、電子マネーの使用手数料などのマネタイズが見込めます

発表・提案

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全グループの提案後、JR東日本の審査担当者より最も評価の高かった提案を選定いただきました本記事では、優勝チームと特別賞受賞チームの提案を紹介します

優勝チーム(Gチーム

Gチームの提案内容は、JR東日本が持つエキナカ施設を契約会社の福利厚生として利用できる「JRふくLINE(ふくりん)」。

JR東日本のグループ経営ビジョン「変革2027」の全体像は「ヒト(すべての人)」を起点に「安全」「生活」「社員・家族の幸福」にフォーカスし、都市と地方、そして世界を舞台に、"信頼" "豊かさ"という価値を創造していくこと。

Gチームより

  • 「グループ経営ビジョン「変革2027」は、シームレスでストレスの少ない移動の実現を目指していると理解しました。そのため、今回Gチームは生活に関連するものを駅付近で完結できるような仕組みを掲げていると解釈しました。そしてリモートワークの浸透に着目し、鉄道利用者及びエキナカ利用者が減少している課題を解決する施策として、JR東日本がハブとなるハイブリッドワーク化を実現する新しい福利厚生を提供するサービスを提案しました。

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仕組み

「JRふくLINE」は、JR東日本が福利厚生を提供するLINE公式アカウントを作成し、契約会社に提供することで社員が駅周辺施設やサービスを福利厚生として利用できる仕組みです。福利厚生サービス・施設を利活用すると個人的に使えるJREポイントとして還元される仕組みにもなっているため、福利厚生以外でもエキナカや駅周辺施設での消費行動を促せるようになっています。

ビジネスモデルの最大の特徴はBtoBである点。1社の契約が取れた際のインパクトが大きく契約会社の社員の多くに利用される想定です。JR東日本は減少傾向にあるエキナカ施設利用者を呼び戻すことが可能になり、契約会社はオフィス勤務を前提としないハイブリッドワーク化に合った福利厚生を提供し、社員の満足度を高められるため双方にメリットがあります。

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公式アカウントのメニュー。「見つける」でサービスを見つけ「会員証」はサービスを利活用する際に提示する。管理画面で会員データを管理し、社員が何の福利厚生を使ったかを確認できる仕組み。「ご利用状況」からは自分のサービス利用状況をグラフで確認できる

今回、Gチームの提案ではデモアカウントを作成し、実際に審査員に触ってもらい発表を行いました

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オフィス・ジムの予約や本・弁当の取り置きなどはLINEミニアプリを活用し、予約までが完了する仕組みになっています。

Suicaの入退場記録を利用し、そのタイミングで利用可能な施設を案内する広告的役割も担う想定です。JR東日本の鉄道を利用する中で、エキナカをはじめとする駅周辺の施設を通過することも非常に多いためタッチポイントを増やし、シームレスな利用体験を提案しました。

まずはオフィスが多いエリアや一人暮らしの会社員が多いエリアからスタートし、そこからJR東日本のエリアの多くを占める関東全域に広げていき、事業を拡大していく予定です。

質疑応答

Q:リモートワークは大多数が自宅で仕事をするかと思いますが、今回のサービスだと家から出て仕事をする人の対象母数が気になりました。ビジネスインパクトの観点で企業が福利厚生サービスの導入判断に至るまでにどれだけ役立てられるのか、どれだけ価値提供できるのかは気にする部分だと思うので考えがあれば教えてほしいです。

A:対象母数は調べきれていませんでした。共有いただいた資料内のアンケート「集中力が切れたときにエキナカのワーキングスペースを無料で使えると良い」「エキナカでご飯を食べられたら良い」などのエキナカ利用に関する定性データが掲載されていたため、ニーズはあると考えました

Q:今後より発展させるためのアイデアがあれば教えてほしいです。

A:JRふくLINEを使えばJRの鉄道がより安く利用できるなど、他のサービスには提供できないプラスアルファになり得るJR独自のメリットの提供ができると他社からの乗り換えもあり得ると考えています

Q:LINEはどのように売上を立てていくイメージですか?

A:開発費用とメッセージの配信料やSuicaタッチ時のメッセージ配信などの月額維持費を想定しています。LINE公式アカウントからパーソナライズされたメッセージを配信する際は追加料金が発生するため、よりパーソナライズされた通知を送る際はプラスの収益が見込めると考えています

フィードバック

  • JR東日本は多くのサービスを展開しているため、LINE公式アカウントのリッチメニューにも追加できるといいと思う
  • リモートワークで在宅ではなく外でわざわざ仕事をする人がどれだけいるのかは懐疑的。LINE公式アカウントを通して提供する価値の新規性が弱い。企業契約は消費者に使わせるよりハードルが高いため、そこに至るための魅力付けが少し必要なように感じた。LINE側の収益面への検討も少し弱い。
  • 福利厚生に限らず、サブスクモデルとすることで、利用の少ないサービスの新規顧客獲得に寄与することができるかもしれない。1日のライフスタイルに合わせた利用者向けの提案はJR東日本の問題意識に沿っている。

特別賞チーム(Eチーム

Eチームの提案内容は、駅で待ち合わせをするときにLINE公式アカウントからおすすめのエキナカ施設を提案してもらえる「エキナカリコメンダー」。

Eチームより

  • 「JR東日本がグループ経営ビジョン「変革2027」内でも掲げている創造する価値の「豊かさ・信頼」を軸に、顧客の体験価値につなげ「Z世代の思う豊かさ=人と会うこと」を中心に考えた施策です。Z世代は「人と何かをする」よりも「人と会うこと」が目的になっており「誰と会うかは決まっているが、何をするか決まっていないことが多い」といったメンバーの実体験やデータをもとに、待ち合わせ後の明確な行動の決め手になり得る施策を提案します。」

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仕組み

エキナカリコメンダーは待ち合わせをするとき、SuicaのLINE公式アカウントを活用し、一人ひとりにパーソナライズされたおすすめのエキナカ施設をクーポンとともに通知するサービスです。駅の改札でSuicaをタッチすると、その駅を起点としたエキナカ施設の通知が届く仕組みです。提案では実際にLINEのデモアカウントを発行し、スマートフォンで触って体験できるモックも用意されていました。

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LINEの友だち登録のステップでは、初回追加時のポイント付与を設けることでユーザーの興味関心を引き、SuicaのID連携の促進にもつながります。

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初回利用時には駅に到着した際に配信されたクーポンを選択し、すぐに利用できるようになっている。後日降車した際も来店履歴に基づき、個人の好みに合ったクーポンが配信されていく仕組み。

「エキナカの施設は多様化されていて、施設やサービスを認知・利用してもらうためには電車を降りてすぐに広告で視覚的に訴える必要がある」というヒアリング内容を踏まえ「電車を降りるときは待ち合わせ直前のLINEに目線を奪われていることが多いのでは」と仮説を立てました。この仮説を踏まえると、駅を出てからすぐユーザーにエキナカ施設・サービスの認知をしてもらうには改札を通過した情報をSuicaでキャッチし、ユーザーの降車駅情報が重要になるため、Suicaの連携が重要だと考えました。改札を出るタイミングのLINEでの通知は非常に高いメッセージ開封率を見込めるため、LINEのサービスを使うからこそユーザーに情報を届けられる施策となっています。

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パーソナライズされた情報発信ができる点も、LINEと協働することの強みです。蓄積されたデータをもとに、将来的には好みや購買傾向に合わせた配信が可能になります。収益モデルはJR東日本がLINE上で行うさまざまな施策で得られるデータやLINEが持つ推定属性情報などを活用し、エキナカリコメンダーを用いてユーザーとデータを共有することで個人に合わせたリコメンドが可能となり、エキナカ施設に滞在する顧客が増え、収益を得られるという仕組みです。

フェーズ1では主要ターミナル駅を中心とした大規模配信を行い、フェーズ2では主要駅にとどまらず、駅特有の生活者に密着したローカライズ配信を行っていく予定です。

質疑応答

Q:現状、改札付近にLINE Beaconを置いている駅もあります。ビーコン施策との違いや掛け合わせたサービスのアイデアは検討の中で出ましたか?

A:個人にパーソナライズされる点がビーコンとの違いです。Suicaのデータを活用し、個人にフォーカスした施策を打つことが一番のポイントです

Q:「豊かさ」を中心に考えると、Z世代は他の世代と比較してあまりお金を使わない層だと感じました。よりお金を使う層をターゲットにした方がビジネスとして成り立ちやすいのではと思いましたが、ターゲットをあえてZ世代に絞っている意図や他の世代に広げるための発想の転換などはありますか?

A:情報感度が高く、リーチしやすいためZ世代をターゲットにしました。Z世代以外でも「帰宅した際にお惣菜を買って帰る」「会社帰りに外食をして帰る」など、ファミリー層や単身層をターゲット層に置いた訴求はフェーズ2で実現したい内容です。

フィードバック

  • プレゼンと発想は良かったが、かけるコスト・投資とリターンのバランスが分からないのが勿体無かった
  • ポイントはきっかけにはなるが、サービスを利用し続けるモチベーションにならないことが多く、リテンションを考慮したサービス設計を意識すると良いと思う。
  • Z世代にフォーカスすることで学生自らの主観でもある程度の納得感があった
  • どこでもいい」の潜在的ニーズをもう少し深堀りできると良いと思った。それが分かるとエキナカ送客へのヒントになりそう

実際に参加した学生の声

  • 5日間、とても熱中して取り組めました。課題の難易度はとても高かったのですが、ハイレベルなメンバーと一緒にスピード感を持って議論を進められたと思います。実際の業務に近い体験ができただけでなく、社会人視点の思考力も学べ、とても素敵な経験ができました。
  • 他社では短期のインターンシッププログラムが多い中、5日間と比較的長い時間をかけてチームメンバーへの理解も深められました。適材適所で価値を最大限に発揮するために試行錯誤し、質の高いアウトプットを生み出す時間になりました。メンバー全員で議論の流れや最終提案イメージを共有する難しさを痛感しましたが、メンバー同士本気で取り組み、提案ができたと感じています。
  • メンター社員の方々は優しく、時に厳しい言葉をかけてくださり普段では気付けなかった自分の至らない点も知ることができました。「チームの中で自分がどのような役割を果たせるのか」に悩んだ5日間でしたが、多くのフィードバックから自分の強みにも気づけました。

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最後に

JR東日本さんからは「全体的に新規性が高くユニークな提案が多かった」とコメントをいただき、また「クライアント分析や課題の認識、自社プロダクトを活用した新規サービスの提案は今後もあらゆる環境で活きるため、ぜひ今後も意識してほしい」と総括いただきました

LINEのセールス職インターンシップは例年、実際のクライアントにご協力いただき、普段営業が行っている業務を疑似体験いただく実践的な機会になっています。クライアントに課題ヒアリングから提案まで行うことで、業務理解だけでなくヒアリングや施策考案の難しさをリアルに感じることができます。

来年以降のインターンシップもLINEの仕事をリアルに感じていただけるプログラムを準備中です。ぜひエントリーしていただき、LINEで働くおもしろさや価値を体感してください

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木下 早苗

採用マーケティング担当。コンテンツ企画・編集、Webサイト制作、イベント運営に関わっています。カレーが好きです。