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LINEのグローバル事業がシェアを拡大し続ける理由

LINEのアプリが日本だけでなく、台湾、タイ、インドネシアを中心としたアジア地域でも様々な世代の方々のコミュニケーションツールとして使っていただいていることをご存知ですか?実は日本よりも利用の浸透率が高い地域もあるんです。今回は、そんなLINEのグローバル事業について、CFO(Chief Financial Officer)のファン・インジュンが報道関係者向けに実施した説明会の様子をお届けします。

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LINEのグローバル事業

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まず初めに、LINE社の概要について紹介します。LINEのコーポレートミッションは「CLOSING THE DISTANCE」です。世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めることをミッションに、さまざまなサービスを展開してきました。
そして現在は、「Life on LINE」をビジョンに置き、ニュースやゲーム・エンターテイメントコンテンツ、EC、AI、Fintech、医療などのサービスを通じて、ユーザーの1日の生活を全てLINEがサポートする世界を目指しています。

また、オフィスもグローバルで9拠点あり、社員も9,200名を超えるグローバルカンパニーに成長しました。日本にいるとあまりイメージが湧かないかもしれませんが、LINEは国内だけでなく、グローバルに使っていただいており、日本と同じように、「Life on LINE」の実現に取り組み、ユーザーの生活をサポートしています。

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グローバル事業の方針

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LINEにはグローバルで月間アクティブユーザーが約1億9,400万人います。日本に加え、台湾とタイで圧倒的なトップシェアを誇っていますが、この2つの市場でLINEが根付いた理由は大きく3つあると考えています。

まず1つ目は、日本でのコミュニケーション文化とアジアのコミュニケーション文化が似ていたことです。アジアは感情表現が直接的ではなく曖昧さを残すことが多く、非言語コミュニケーション文化の傾向があります。ボディーランゲージの役割として、テキストでは伝えきれない感情や気持ちを代弁する「LINEスタンプ」を用いたコミュニケーションが日本同様に受け入れられたのではないかと思います。
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2つ目は、ネットワーク効果と大規模なマーケティングです。LINEのようなコミュニケーションサービスは、ネットワーク効果により、特定の地域で流行するとその周辺地域でも広まる傾向があります。これはSNSの特徴で、1人だと何もできないけど、2人いると楽しくなる、繋がる友だちが増えるとどんどん面白くなるサイクルで、ユーザーがユーザーを呼ぶ好循環です。

2011年6月にLINEをリリースすると、日本に加えて、東アジアなど日本以外でも並行してグローバルに急速に広がっていきました。台湾、タイなどでも最初は自然にユーザーが発生して広がったところに、タイミングを見極めてさらなるユーザー獲得、アクティブ率向上のための大規模なマーケティングを現地で行ったことで、ネットワーク効果を促進させ各市場におけるユーザー基盤を構築することができたと考えます。

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3つ目は、「ハイパーローカライゼーション戦略」です。ハイパーローカライゼーションとは、世界共通に画一化されたグローバルサービスではなく、多種多様な文化・慣習を尊重し徹底的にローカライズしていくことです。これは、世界一律で同じようにサービスを展開するグローバルビッグテックとは逆の考え方です。分かりやすい例はスタンプです。台湾では旧正月関連スタンプ、タイでは仏教文化関連スタンプなど、現地の文化を反映したスタンプを発売しました。スタンプが現地でのLINEの人気を高めてくれたと思っています。

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また、LINEでは現地法人の代表は現地出身者が務めています。立ち上げ時こそ駐在メンバーでしたが、現在は、現地で採用した現地のことをよく知る経営陣が指揮を取っています。
このハイパーローカライゼーション戦略を背骨に、現地の人材が徹底的に現地のニーズに寄り添い、「Life on LINE」を目指した結果、タイ・台湾ではユーザー数No.1のコミュニケーションサービスに成長したと思っています。

グローバル事業の現状:台湾

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ここからは、LINEが市場シェアトップの台湾とタイの事業状況について説明します。まずは台湾の市場についてです。台湾では、現地法人のLINE台湾が中心となって事業をしており、2014年6月に設立、現在はRoger ChenがCEOを務めています。
LINEは、台湾でユーザー数No.1のコミュニケーションアプリとなっており、台湾の約2,300万の人口に対して、2,200万人のユーザーがいます。つまり人口の約90%がLINEユーザーと考えられ、LINEが展開する地域の中で最も浸透率が高い市場となっています。
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台湾では、コミュニケーション、デジタルマーケティングソリューション、エンターテインメント&コンテンツ、コマース、OMO、Fintechの6つの事業を軸に、LINEプラットフォーム上に強力なエコシステムを構築しています。特に、コミュニケーション事業のスタンプは、台湾ユーザーに多く愛用いただいています。

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ファン:続いて、台湾におけるハイパーローカライゼーションの成功事例としてCSRの取り組み「LINE Fact Checker Platform」を紹介します。

台湾で深刻化するフェイクニュースの問題に、LINEはプラットフォーマーとしての責任を果たすべく、2019年3月に「LINE Digital Accountability Program」を開始しました。
具体策として、2019年7月から偽情報の拡散を抑えることを目的に、情報のファクトチェックを行う「LINE Fact Checker」を無料で提供しています。

ユーザーがLINE Fact CheckerのLINE公式アカウントに真偽を確かめたい文章やサイトのURLをシェアすると、4つの主要ファクトチェック組織の専門家たちが調査し、結果は「フェイク」「一部真実」「真実」の3種類で判定されます。
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グローバル事業の現状:タイ

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続いて、タイ市場についてお話します。タイでは、現地法人のLINE Thailand Companyを中心に事業を展開しています。

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2014年5月に設立し、現在はOng(Dr. Phichet Rerkpreecha / ピシエット ルークプリーチャ)CEOを務めています。タイでも、LINEはユーザー数No.1のコミュニケーションアプリです。
タイの人口約6,600万に対して、5,300万人の方にLINEを使っていただいています。つまり、人口の約80%LINEユーザーと考えられ、約90%である台湾に次いで高い割合です。人口カバー率が約70%の日本よりも、高い割合です。
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LINEタイはコマース、Fintech、コンテンツ&コミュニティなどのサービスを通じてユーザーの生活をより良いものにするため多様なエコシステムを構築しています。また「LINE公式アカウント」、「LINE広告」などの法人向けソリューションにも力を入れています。
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主要サービス「LINE TODAY」は、いわゆる日本のニュースサービス「LINE NEWS」のグローバル版です。LINE TODAYは、タイでNo.1のモバイルコンテンツポータルで、さまざまなコンテンツを記事と短い動画の両方の形式で提供しており、月間アクティブユーザーは約4,000万人です。

続いて、タイにおけるハイパーローカライゼーションの成功事例として「LINE MAN Wongnai」を紹介します。LINE MAN Wongnaiのベースは、LINEタイが2016年4月にスタートした、ユーザーの日常生活をサポートするオンデマンド型アシスタントアプリ「LINE MAN」です。
タイは、特に首都バンコクの交通渋滞が日常化しており、自分で外出して用事を済ませることに対してハードル意識があります。また、バイク配達が主流であることや屋台などの飲食店が多いという特徴があります。LINE MAN は、これらの特徴や現地のニーズから、フードデリバリー、食料品・日用品デリバリー、速達郵便サービス、タクシー配車といった、ハイパーローカライゼーションを体現したサービスとして始まりました。

そして、2020年9月に、飲食店検索プラットフォーム事業を展開する「Wongnai」を吸収合併し、「LINE MAN Wongnai」として、フードデリバリーを強化しました。毎月の注文数は、2020年1月から今年8月の間に15倍以上に成長しています。今では、タイの77県すべてにおよぶ70万店舗上のレストランと提携し、タイ全土でフードデリバリーサービスを提供しています(今年9月時点)。

そして、今年9月にシリーズB投資ラウンド(投資フェーズの種類)で2億6,500万USドルを資金調達し、企業価値が10億USドルを突破しました。これにより、ユニコーン企業と評価されるようになり、IPOも目指しています。

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このように、LINEはメッセンジャーを軸にスタンプやコンテンツ事業でユーザー基盤を強固なものにし、「Life on LINE」としてユーザーの生活に欠かせないサービスを展開しています。

今後、グローバルでは、特にFintechEC領域を強化していきます。新たな挑戦としてLINEのプラットフォーム外の事業、すなわち新市場開拓の可能性を秘めるWeb 3領域のNFTやブロックチェーン事業にもますます注力していきます。

グローバルの強化領域:①銀行

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ここからは、グローバルの強化領域についてお話します。 まず、銀行です。2018年から銀行事業を進め、現在、タイ、台湾、インドネシアで銀行サービスを提供しています。


銀行事業は、「Banking in Your Hand」というスローガンのもと、現地の金融企業とパートナーシップを組む戦略をとっています。銀行に行くのではなく、スマホの中のLINEプラットフォーム内に銀行がある状態、「手のひらの中に銀行がある」という世界を提供しています。

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LINEとして銀行サービスを初めて提供したのはタイです。タイ大手のカシコン銀行と合弁会社を作り、2020年10月に「LINE BK」を開業しました。LINEのウォレットタブ内に口座残高を表示するなど、タイで国内初の「ソーシャルバンキングサービス (メッセンジャー連携型モバイルバンキング)」を提供しています。今年9月末時点のユーザー数は約500万に達しました。

タイの次にローンチしたのは台湾です。台北富邦銀行などを株主に持つ、LINE Bank Taiwanが、インターネット専業銀行業の営業許可を取得して、「LINE Bank」を2021年4月に開業しました。
友だち同士での送金やデビットカード、要求払いおよび定期預金、定額返済型の個人向けローンなどのサービスを提供しています。また、先月、損害保険代理店業の許可を取得と自動車およびバイク保険に参入することも発表しました。ユーザーの約75%が20代から30代と、若い層を中心にご利用いただいています。今年9月には132万ユーザーを突破しました。

そして、インドネシアです。2021年6月にインドネシアでハナ銀行とともに、「LINE Bank」を開業しました。インドネシアは銀行口座を持たない「アンバンクト層」が多く、また1万9千以上もの島からなるという地理的な事情があり、モバイルで完結する「LINE Bank」への期待が高い状況です。オンラインでの簡単な口座開設(e-KYC)、送金や預金引き出しなど提供しており、口座管理の手数料も全面無料化しています。今年9月時点で46万ユーザーを超えました。

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海外の強化領域:②LINE Pay

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続いて、キャッシュレス決済サービスの「LINE Pay」です。2014年に日本でのローンチを皮切りに、台湾とタイでもサービスを提供しています。グローバルでの登録者数は6,000万人を突破しました(202111月時点)。
台湾では、2014年からLINE Payを提供しており、現地で利用率No.1の決済サービスになっています。登録者数は、今年10月時点で1,100万人を超えており、台湾人の約2人に1人がLINE Payを利用していることになります。42万以上の店舗でLINE Payによる支払いが可能となっています。

タイは、「Rabbit LINE Pay」というサービス名です。タイの鉄道BTSの電子マネーブランド「Rabbit」、タイ国内利用率No.1の通信事業者「AIS」などと提携し、2016年から提供しています。登録者数は、今年10月時点で800万人です。

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海外の強化領域:コマース

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EC事業も注力領域で、台湾とタイで展開しています。台湾・タイのEC市場は成長しており、その中でLINEはソーシャルグラフを活かしたサービスを展開しています。

台湾ECの中心は、2018年から提供している「LINE SHOPPING」です。ShopeeやYahoo!などの大手ECモールとパートナー契約を締結したうえで商品を並べ送客するアグリゲーションモデルです。
ファッションや雑貨をはじめ、スポーツ、インテリア、家電、コスメなど約800社の3200万点を超える商品を取り扱っており、今年5月時点での月間アクティブユーザーは1,200万となっています。
また、日本で非常に好調な「LINEギフト」も台湾で「LINE GIFTSHOP」という名前で2015年から提供しています。LINE GIFTSHOPは急成長を遂げており、台湾のEC事業に寄与しています。

タイの主要ECサービスは「LINE SHOPPING」で、日本と台湾同様に「LINEポイント」を活用し、ユーザーのリテンションと継続利用の推進に注力しています。ファッションや健康・美容グッズ、IT機器や家電など約45万社の350万点を超える商品を取り扱っています。今年6月時点の月間アクティブユーザーは1,200万で、2021年12月時点で700万だったので、急速に成長していることがお分かりいただけるかと思います。
なお、タイのEC市場は全体取引額の約60%がSNS上で行われているという特徴があり、LINEタイはそれをサポートする「MyShop」を提供し、タイのECを活性化しています。

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海外の強化領域:④ IP関連事業

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次は、「LINEスタンプ」から始まった、グローバルキャラクターブランドである「LINE FRIENDS」のIP関連事業です。
2013年10月に初めてポップアップストアを韓国・ソウルで開催して以降、累計400を超える出店を行い、現在は世界15の国・地域で34店舗を運営しています。また、コロナ禍ではオンラインストアでの売上が好調でした。オンラインはさらに拡充していく予定です。
長らく「LINE FRIENDS」という社名で事業を展開していましたが、今年韓国本社の社名を「IPX」に変更しました。メタバース、バーチャルIPNFTFandom関連事業に取り組み、デジタルIPプラットフォーム企業になることを目指します。
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グローバルの強化領域:➄Web3

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2011年モバイルのパラダイムシフト期にLINEアプリをリリースし、そこから10年以上さまざまなサービスを提供してきました。今、LINEは次のパラダイムシフトであるWeb3の世界に挑戦しています。

Web3の基盤となるブロックチェーン技術においては、LINEは2018年から取り組んでおり、独自の技術で「LINE Blockchain」というメインネットを作りました。そのメインネットを基盤にして独自暗号資産「LINK」を発行し、企業が簡単にブロックチェーンのサービスを開発できるツールも提供しています。

簡単にNFTの保有・管理ができるウォレットを日本と海外両方で提供しており、今年の春に日本で「LINE NFT」というマーケットプレイスをローンチし、9月にはグローバル向けに「DOSI」というNFTプラットフォームのベータ版を提供開始しました。NFTを所有するだけでなく、交換したりユーザー同士で売買できるなど、エコシステムを拡大させています。

現在のLINEのプラットフォームを基盤に展開しているサービスとは別の軸としてこの新しい領域にチャレンジしています。新たな市場の獲得に繋がる可能性を秘めていると考えています。

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今後の展望

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今後は、基本的には現在の市場・事業を伸ばしていく方針です。台湾、タイを中心にコア事業の広告やコミュニケーション、コンテンツ関連サービスを成長させ、銀行業などのFintechやコマース領域を大きく成長させていきます。並行して、Web3などの新しい領域にもチャレンジし新規市場開拓も狙っていきます。

また、皆さんもご存知の通り、LINEは2021年3月にZHDと経営統合をしました。グループには、ソフトバンクグループのSoftbank Vision Fundもいますので、将来的には連携できると良いなと思っています。

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仲村つかさ

2019年LINE入社。広報室で社内広報をしています。体を動かすこと、汗をかくことが好きで今はホットヨガを頑張っています。韓国ドラマもほぼ毎日ネットフリックスで鑑賞しています。