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プライバシー保護の最高責任者「CPO」に、LINEの個人情報保護について聞きました

LINEでは、128日の国際的な「データプライバシーの日(Data Privacy Day)に合わせて、同日を「LINE プライバシーデー」と定めています。この「LINEプライバシーデー」では、ユーザーの皆さんにLINEのプライバシー保護について、改めてお伝えする取り組みを行っています。

今回は「LINE プライバシーデー」にちなんで、LINEのプライバシー保護の最高責任者「CPO(Chief Privacy Officer)を務める関原に、ユーザーのプライバシーを守るために、どのような取り組みをしているのか、仕事の中身を聞きました。

※データプライバシーの日:2008年にアメリカとカナダで、EU"データ保護の日"(Data Protection Day1981128日に、初めてプライバシーとデータ保護を扱う国際条約である"108号条約" が調印されたことを記念する日から派生して誕生。プライバシーの尊重とデータの保護への信頼を確保することをテーマとし、毎年128日に行われるデータの守秘と保護に関する意識の向上および議論の喚起のための国際的な取り組み。

  • 関原秀行(Sekihara Hideyuki
  • LINE株式会社 プライバシーセンター長 CPO2010年に弁護士登録し、法律事務所に勤務。2012年に総務省出向。再度、法律事務所勤務を経て、2019年にLINE入社。20228月よりCPOChief Privacy Officer)として、LINEのプライバシー保護活動を監督、推進している。最近の趣味は筋トレ。

――改めて、自己紹介からお願いしてもよいでしょうか。

関原

2018年にプライバシーカウンセル(※プライバシー領域の社内専門家)としてLINEに入社しました。LINEアプリやその他のサービスに関連したプライバシーへの影響評価やインシデント発生時の対応などを担当していました。その後、プライバシー関連部署のマネージャーなどを経て、20228月にCPOに就任しました。

LINEに入社する前は、弁護士として法律事務所に所属し、企業法務以外にも離婚や交通事故、刑事事件など様々な業務を担当していました。その間、総務省にも出向し、個人情報保護法や通信の秘密に関する業務に携わっていました。そこで、現在のキャリアにつながる経験を積むことができました。再度法律事務所に戻った後、民間企業の立場でプライバシーに関する仕事をしてみたいと思いLINEに入社しました。

――CPO」の仕事内容について教えてください。真ん中の「P」はProductじゃないんですよね?

関原

そうですね。私が担当するCPOは「Chief Privacy Officer」の略称です。LINEのプライバシーに関する方針やルールの決定、プライバシーを守る組織の構築、さらに、そのルールが適切に守られているかを統括的に監督・推進する立場です。

例えば、ユーザーの皆さんに分かりやすく伝えるための活動の一つとして時代に合わせてプライバシーポリシーの内容を見直すことを指揮したり、法令やガイドラインが改正された際には、それに合わせたLINEとしての対応を推進したりしています。

また、法令への対応だけでなく、ユーザーからのLINEへの期待値や、プライバシーという概念の世界的な変化にアンテナを張り、適切に対応していくこと、さらには、そのLINEの対応方針を、透明性を持ってわかりやすくユーザーに説明する取り組みを推進することも、CPOに求められる重要な役割だと考えています。

ユーザーの皆さんからは実際にLINE内でどのようにデータが取り扱われているのかを目で見ることができません。そのため、CPOが所管するプライバシー部門において、LINE内でのデータの取り扱いがユーザーにお約束した内容を遵守できているか、不適切なデータの取り扱いが発生していないか、といったことを監督する役割も担っています。

――ユーザーのプライバシーを守る上で、特に大切にしていることって何でしょうか。

関原

ユーザーの皆さんからお預かりしたデータについて不適切な取り扱いがないようにすることが一番大切だと考えています。その上で、ユーザーの皆さんにLINEにおけるデータの取扱いを「いかに透明性を持って、わかりやすく伝えるか」が重要だと考えていて、特に意識を高くして取り組んでいます。

例えば、ユーザーの皆さんは、LINEがどんなデータを取得して、どのように利用しているのか。また、そのデータをどこかに提供することがあるのかは、とても気になる点だと思います。皆さんに安心してLINEのサービスを使ってもらうためには、このような情報をできる限り、わかりやすくお伝えしていくことは、とても重要だと考えています。

LINEがユーザーの皆さんのデータをどのように取り扱っているかは、外から直接見ることはできないため、適法に扱うことはもちろんですが、ユーザーの皆さんが気持ち悪いと感じるような使い方をしないように、さらに安心してLINEのサービスを利用してもらえるよう、適切に取り扱うことが大事ではないかと考えています。

――「透明性」がキーワードになりそうですね。

関原

「透明性」は簡潔にいうと、本来ユーザーからは見えない部分も見えるようにする、ということです。例えば、LINEではサービス提供や不正利用の防止のために、ユーザー情報の取得やモニタリングを実施しています。その情報をLINE内部でどのように扱っているのかを、ユーザーの皆さんにわかりやすく説明した上で、社内で適切に取り扱われているかを継続的に確認・監督しています。

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――プライバシーを守る上で、難しいな、大変だなと思うことはありますか。

関原

プライバシーという概念を突き詰めた場合、一つの正解があるものではないと思っています。法律に違反しているかという話であればわかりやすいのですが、法律に違反していなくても、ユーザーがプライバシーを侵害されたと感じることもあると思います。法律が、世の中の変化や社会からの要請、技術の変化に追いつかないこともあるでしょう。

私たちは、「ユーザーが嫌だと思うか」や「気持ち悪いと思うか」を大切にしています。法律には必ずしも正解が書かれているわけではないので、法律の主旨をよく理解したうえでLINEとしてどんなスタンスをとるべきなのか、ユーザーに「気持ち悪い」と思われないデータの使い方をしていくにはどうすればよいか、は常に悩ましいと思っています。今のルールや感覚が12年後には適切ではなくなる可能性も十分あり得ます。時代に合わせて、明確な定義のないプライバシーを守っていくことは悩ましい部分もありますが、それこそがこの分野の仕事をしていて面白いと感じるところでもあります。

LINEも2021年、省庁や親会社が組成した有識者らによる委員会から、データガバナンスのさまざまな課題についてご指摘をいただきました。それに対して、データガバナンスの強化と社会への説明責任の強化を重要な経営課題として認識し、対応を進めています。こういった経験も糧にして、私たちがどうあるべきかを追求し続けています。

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―今回は「LINEプライバシーデー」に合わせたインタビューです。もう少し、プライバシー保護のための具体的な取り組みを紹介ください。

関原

例えば、「LINEプライバシーポリシー」の中では、LINEがどんなデータを取得し利用するのか、そのデータをどこに提供するのか、などを記載し、可能な範囲で透明性を持って説明しようと心掛けています。

一方でプライバシーポリシーは法律的な用語も多く、わかりづらいと感じる方もいらっしゃると思いますので、要点をまとめた「LINE Privacy Center」を公開しています。プライバシーポリシーは内容が難しかったり、文量が多かったりするので、つい読み飛ばしてしまいがちなものだと思います。でも、皆さんのデータをどう取り扱っているのかを説明する大切な内容ですので、皆さんに少しでも興味を持ってもらい、安心してLINEのサービスを使ってもらえるように工夫しています。

また、ユーザーが自分のデータを管理できる機能も提供しています。どこまで自分のデータを公開するか、誰に自分のデータを渡すのか、ターゲティング広告を受け入れるのか、位置情報やビーコンのデータの利用を許可するのかなど、LINEのサービスを利用するにあたって、データの取得や利用範囲をユーザー自身で選択できる機能を用意しています。

LINEプライバシーデー」の一環で、LINEのプライバシー設定の見直しに役立つよう、設定方法を詳しく紹介する記事を公開しました。そちらも、ぜひご覧いただければと思います。

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記事URL:https://guide.line.me/ja/features-and-columns/privacy-day.html

それから、ユーザーに安心してLINEのサービスを利用してもらうために、「プライバシー影響評価」も実施しています。新たにサービスや機能を提供するときに、法律やガイドラインへの適合性の確認はもちろん、ユーザーがサービスを利用する際に「怖い」「気持ち悪い」など、ネガティブな感覚に陥らないか、ユーザーに対してわかりやすく必要な説明ができているかどうか、といった内容をこのプロセスで確認しています。

ユーザーの立場に立ってリスクの有無を判断する。リスクがあると考える点は社内で十分議論を重ね、ユーザーに安心して使ってもらえるレベルまで対応した上でリリースする。私たち自身があくまでもユーザーのひとりであるという目線を持ちながらプライバシー影響評価を行っていることは、LINEのプライバシーに関する取り組みの特色だと思っています。

――最後に、今後の展望について聞かせてください。

関原

LINEを取り巻く環境は、以前にも増して、プライバシーに関する透明性が強く求められている、と感じています。技術的な面も日々発展していて難解になってきている中で、ユーザーに対して私たちのプライバシーに関する取り組みを、正確にわかりやすく伝えることが大変難しくなっていると感じます。

次々と法律やガイドラインが改正されていく中で、それらに遅れずに対応していくのは当然のことですが、法律やガイドラインがカバーできていない部分についても、後追いではなく、できる限り先取りすることで、「LINEはこういうことをやっています」と積極的に発信していきたいです。LINEのプライバシーに対する透明性を高めることができる体制を、しっかりと整備していきたいと思っています。

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斉藤 幹晴

PR室で社内広報を担当。2004年にライブドア(現LINE)入社。メディア事業部でスポーツ、映画などのニュースサイト、コンテンツ作りに携わる。現在は社内報の企画編集などに従事。趣味は音楽鑑賞(ジェイコブ・コリアー)、読書(「うしろめたさの人類学」)、自転車に乗ること。