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私のSTYLE

片野秀人×落合紀貴が語る「バックオフィスとしてのLINE STYLE」

LINEの価値基準「WOW=NO.1」を生み出すために、社内のリーダーは「LINE STYLE」(LINEらしいやり方、考え方)をどう捉え、実践しているのでしょうか。

LINE STYLEの実践方法を紹介していく連載企画「私のSTYLE」の5回目は、社内IT部門の責任者で執行役員の片野秀人(写真右)と、人事・総務部門を統括する執行役員で、LINE Fukuokaの代表取締役社長なども兼務する落合紀貴(写真左)の登場です。

社員にとって「より良い環境を整える」がミッションという二人に、「バックオフィスとしてのLINE STYLE」について語ってもらいました。ぜひ「LINE STYLE BOOK」と合わせてお読みください。

片野 秀人(かたの ひでと)

LINE執行役員 Enterprise IT開発/Growth開発統括。年3月ライブドアにサービスインフラ担当として入社。livedoor Blog、LINEのファミリーサービス等のサービス運営に関わり、2013年より社内IT部門責任者を兼任。2016年、LINEモバイルの立ち上げなどを経て、現在はLINE Growth Technologyの取締役を務める。2019年1月、LINEの執行役員に就任。

落合 紀貴(おちあい のりたか)

LINE執行役員 人事/総務統括、LINE Fukuoka株式会社の代表取締役社長。証券会社、ベンチャー企業を経て、2004年10月にライブドア入社。2013年4月よりLINE株式会社の執行役員となり、同年11月にはLINE Fukuoka株式会社の取締役に就任。2016年5月よりLINE Fukuoka株式会社の代表取締役社長を務める。現在はLINE証券株式会社の代表取締役Co-CEOを兼務し、サービスの立ち上げにも力を入れている。

同シリーズの過去記事はこちら。

目指すは「働きやすさNO.1」

――お二人ともライブドア時代から在籍されていますが、これまで仕事ではどんなつながりがあったんですか。

片野

ライブドアのとき、私はサービス開発側の担当だったので、直接バックオフィスと絡むことはありませんでした。落合さんと業務的な接点ができたのは、2013年に会社の商号がLINEになって、社内システム組織の構築をやりはじめてからです。

落合

社内システムの開発は、たしか片野さんが自分からやりたいと言ったんですよね。

片野

そうです。その頃、システムは親会社から提供されているものを使っていて、組織も社内のITヘルプデスクしかありませんでした。いろいろと不満があったので、名乗り出てゼロから作りだしたっていう(笑)。

落合

LINEという会社の規模が大きくなってくると、どうしても我々の使いたいものとのズレが生じてきますよね。かといって、こちらの要望を全部親会社が対応してくれるとも限らないので、そこはLINEとしてしっかり自分たちのシステムを持たないといけない、という共通認識があったと思います。

片野

いまのEnterprise ITセンターでは、「働きやすさNO.1の企業を目指し、より良い環境を提供し続ける」というミッションを掲げています。2019年11月の「LINE DEVELOPER DAY」で、はじめて明確に言葉にしたのですが、目指すべきところは設立当初からあまり変わっていません。

――「より良い環境を提供し続ける」というミッションは、人事の仕事にもつながる部分がありそうです。

落合

私が人事の役割だと思ってずっと言っていることは、「優秀な人を採用して、その人ができるだけ早く自分の持っているポテンシャルを最大限発揮できるようにして、かつその状態をできるだけ長く維持させること」なんです。そういう意味では、私がやっているのは制度とか福利厚生とかの領域で、片野さんの領域は日々の業務でストレスがかかる部分を、システム面とかツール面で解決しているという認識ですね。

片野

新しく入ってきた人がどれだけ早くパフォーマンスが発揮できるかはとても大事なので、社内ITでも、それを継続させるシステム作りが課題だと思っています。あと、最近改めて気づいたんですけど、僕は仕組みを作るのが好きなんですよ。不満があったとき、最初は自分で手を動かして何とかするんですが、それでは続かないので、自分が手を入れなくても継続する仕組みにどうやって落としこむのか。そこに一番関心があるし、自分がやるべきミッションだと思っています。

――今回はLINE STYLEにまつわる企画なのですが、LINE STYLEについてはどう思っていますか。

片野

この11項目は、よくできていて、異論の出しようがないというか(笑)。ただ、ここに書いてあることをどう実践するかはチームやマネージャーごとにズレが出やすいので、そこに関してはお互い話をするようにしています。

落合

この会社では、言葉は違えど、ずっと言ったり言われたりしてきた内容だと思います。それが「LINEのフィロソフィーはこうなんです」と明文化されたことによって、メンバーは「あ、こうなんだ」と確認できるし、マネージャーや管理職にとっても、メンバーに対して自信をもって伝えるためのサポートになっていると思います。

バックオフィスとしてのLINE STYLE

――ここからはLINE STYLEの各項目を見ながら、より具体的なお話を聞かせてください。まずは最初の4項目です。バックオフィスの仕事をする上で、特に意識しているものはどれでしょう?

片野

1番目の「Users Rule(全ての原点は、ユーザーニーズ)」です。

落合

私もまずはこの項目ですね。

――バックオフィスの視点では、「ユーザー=社員」になりますね。

片野

それでサービス側とアプローチの違いが出るとしたら、要望を言っている人の顔が見えるので「正しく思えてしまう」ところだと思います。例えば、サービス側にとってのユーザーニーズは不特定多数の意見なので、それが正しいかどうか分からないから、ちゃんと分析してから、解決していこうとなります。でも、顔が見えている社員が言っていると、「あの人が困っているなら、何とかしなきゃ」と、すぐに動きたくなってしまう。

その姿勢自体はいいんですが、顔が見える人の要望を一つひとつクリアしたらいいものができるかというと、そうでもなくて、継ぎはぎになってしまったりします。その意味でも、しっかりニーズを掘り下げて、「根本的な原因を見極めなきゃダメだよ」という話はよくしていますね。

落合

そのためにも「Always Data-driven(感覚ではなく、データ=事実を信じる)」が同時に重要になってくるんです。お子さんがいる方はよく、「みんな持っているから、僕もほしい!」と言われることがあると思いますが、その「みんな」って誰なんだと。実は100人のうち、5人しかいないとかいうことがあるじゃないですか。

片野

落合さんは「誰が言ってるの?」と必ず聞きますよね。

落合

「社長が言っているから」やるという意味ではなくて、「誰が、どういう状況に置かれているから、こう言っている」ということを、ちゃんと理解することが大事です。何人くらいの人が言っているのか、それがどのくらいシリアスな状況なのか。もちろん本人から話を聞くことも大切ですが、一方で周囲にヒアリングしたり、いろんなデータを見たりしながら検討すべきです。一人の声の大きい人が訴えているだけなのか、あるいは声は小さいけど重要な問題が潜んでいるのかを、しっかり見極めていく必要があります。

編集担当メモ:
ユーザーの声の質を見極める。

大事なのは「決定のプロセス」

――次はチームワークにまつわる項目です。この3つの中で、どれを特に意識していますか。

片野

「Open Communication, Vertical Decision-making(オープンな議論と、リーダーによる決断)」です。特に「オープンな議論」は意識的にやっています。「リーダーによる決断」はリーダーが気をつけていれば問題ないんですが、「オープンな議論」は全員が意識してないとできないので、よく話をしていますね。

1対1での会話とか、見えないところで決まった話をあとで共有されて、「それは違うよね」となった場合、また議論しなおすのはすごく効率が悪い。それに会議で決まった結論だけが共有されても、「何でそうなったのか」が仕事を進める上では必要だったりします。結果以上に決定のプロセスが重要なことも多いんです。であれば、オープンに議論した方が効率的だし、それがオンライン上なら、必要な時にログを見ることもできます。無駄な行き違いが減れば、仕事もしやすくなると思うんです。

落合

私は、ここでは「Keep in Sync, Aiming for the Same Goal(同じゴールを目指し、同期し続ける)」を選びました。人事・総務の領域はいろんな人から大小さまざまなリクエストがあるので、目の前のことだけに集中して対処していると「何のためにそれをやるんだっけ?」ということを見失いがちなんですよね。だからこそ、少し俯瞰で見ることがすごく大事です。

私は、先ほどもお話した「優秀な人を採用して、できるだけ早くパフォーマンスを発揮してもらう。そして長続きさせるようにする」ということをいつも言っています。私の部門の人たちは「また同じこと言ってるな」と思っているでしょうが、そう思われるくらい毎回、言い続けないと伝わらないんですよね。

片野

本来の目的や向かっていく方向は、節目節目で確認する必要があると思います。僕も全体会の終わりとか飲み会で、枕詞のように同じことしか言ってません(笑)。

編集担当メモ:

結果以上にプロセスが重要なことがある。だから議論はオープンに。

「少数精鋭って矛盾してないですか」

――「Build Lean and Exceptional Teams(最高を目指す、少数精鋭のチーム)」という項目は、特に人事の領域に関わるように思いますが、こちらはどうですか。

落合

とても大事なことだと思っています。目の前にたくさんのタスクがあると、それを解決するために人海戦術になりがちですよね。でもそれだと付け焼き刃になってしまう。だからまず、「根本的な原因は何で、それを解決する仕組みはどうするべきか」を考えられる人......それこそ片野さんのような人を採用するとか、そういう人たちがリードできる状況にしていきたいです。少数精鋭の仕組みを考えられる人の割合を増やすことが、人事としても大事かなと思います。

片野

会社としては大きくなって、明らかにやってる事も大きくなっている状況なので、実際、「人を増やさないとできないですけど、少数精鋭って矛盾してないですか」とメンバーに聞かれることもあります。

そのときに僕が答えているのは、組織や会社は大きくなるんだけど、チームの単位は小さくして、自分たちで意思決定して動けるチームの数を増やしていくというイメージです。意思決定するチームを小さくしていくというのはとても大事で、そこは少数精鋭であるべきだと思いますね。

資料作りよりも考える時間を増やす

――続いては、働き方についての2項目です。

片野

「Work Intensely and Be Focused(目的なき「一生懸命」は、いちばん危険)」を選びました。くり返しになりますが、目の前の依頼をただこなすだけで仕事をした気になるというのは陥りやすい罠なので、本来の目的に立ち返る機会を常に作るのは大事だと思っています。

落合

私も同じです。目的なき「一生懸命」でいうと、例えば、いきなりパワポで壮大な資料を作ってくる人がいますよね。でも、もう少し早めに、「こんな方向で考えているんですけど、どう思いますか」と軽く聞いてほしいですね。紙にペンで書いたメモでも、それを写真に撮ったものでもいいんです。資料作りにこだわるぐらいだったら、考える時間を増やしてほしい。

片野

たぶん落合さんの突っ込みが怖くて、調べて整えて準備万全にするんでしょうけど(笑)。それを作っていく人の気持ちが分からないでもない。

落合

いや、データはほしいですよ。根拠となるデータの種類とか、この角度からも見たか、というのは聞きますけど、資料の見栄えは、私の場合はどうでもいい。

片野

必要最小限で落合さんのところに持っていける人って、だいぶ限られる気がしますけど(笑)。おっしゃるように見た目とか体裁で頑張るのは違いますね。

編集担当メモ:

「一生懸命」の前に、あたりをつける。

ブレーキが壊れた人たちの命綱

――最後の2つは、仕事に対するマインドについての項目です。

落合

正直、この2つに関しては実践できているとは言えないですね。「Enjoy the Challenges(ワクワクしなければ、仕事じゃない)」は特に。私、仕事であまりテンションは上がりもしないし下がりもしないので。「大変だな」って、ちょっとクスッとしながらやるくらいがいいと思いますけどね。

片野

落合さんらしい(笑)。だって落合さんは明らかにテンションとかモチベーションで仕事しないタイプじゃないですか。良い意味でドライなんですよ。何でも論理的にものごとを判断するので、私はすごく仕事がしやすいですけどね。

落合

ワクワクも必要な要素だとは思いますけど、私はそういうタイプではないので。

――もう1つの「Go Brave. No Fear. No Regrets(世界を変えるのは、大胆で勇気ある挑戦)」はいかがでしょう?バックオフィスとしてはどう捉えていますか。

片野

僕もこの「大胆で勇気ある挑戦」を自分が実践しているかといえば、正直あんまりできてないですね。というのも、ウチの会社はびっくりするレベルで挑戦する人がいっぱいいるじゃないですか(笑)。その人たちがいかに倒れないように、きわきわで支えるかっていうのはやっています。そういう意味では、自分自身が率先して動くわけではないけれども、結果的に「Go Brave. No Fear. No Regrets」を実現するために動いていることにはなると思っています。

落合

そうですね。どこかで命綱的な役割を果たしている気持ちがあります。何にも付けないで飛行機から飛び降りるのではなく、安心して飛び降りてもらうために、「こういう観点では見ているんだっけ?」という話をする人は、バックオフィスに限らず、必要だと思っていて。ぜんぜん止めるつもりは無いんですけど、「そこは一応見たほうがいいよ」みたいな。

片野

「そこ超えたら死ぬよ」って(笑)。たぶん周りが保守的な人たちばかりだったら、それを壊しにいくと思うんですけど、この会社には、完全にアクセル踏みっぱなしでブレーキ壊れた人たちがいるので、その必要がないんですよ(笑)。それをどう、うまく成立させるかっていう立ち位置になりやすいですね。

編集担当メモ:

大胆な挑戦を支えるのも勇気。

ずっと働いているイメージ?

落合

片野さんはずっと仕事をしてるイメージがあるんですけど、息抜きはどうしてるんですか。

片野

よく聞かれるんですが、仕事とプライベートの区別がないんですよ。だから休みの日も仕事していて、それこそ先週末もスノーボードをしに北海道に行ってましたけど、リフトでは仕事のLINEを返してましたし。そうすると何が起きるかというと、逆転の発想で、「いつ休んでもいいかな」になるんです(笑)。休んだって仕事してるんだから、「別に支障ないですよね?」ってなるんですよ。そういうスタイルに振り切ったのは、ここ5、6年ですかね。傍からは忙しくて休んでないように見えるんですけど、毎年30日以上はスキー場に行っていて、ちゃんと遊んでます。

落合

そうだったんですね。

片野

仕事とプライベートを明確に分けたいって人もいますよね。それは人によって違うと思うので、それぞれのスタイルでいいと思います。それが許容される会社だと思うので。

もう1つのEnjoy the Challenges

――最後に、プライベートでチャレンジを楽しんでいることがあれば、教えてください。

片野

またスノーボードの話になりますが、今シーズンはバッジテスト1級に受かって、インストラクター資格を取っておきたいなとは思ってます。9歳の長男も、いま2級を持っているので、競争してます。妻と次男も一緒にバッジテストは受けてるので、家族4人でチャレンジしてる感じですかね。

ライバルでもあるお子さんと絶景を眺める(写真提供:片野)。

落合

私はJリーグ観戦が趣味なのですが、最近はプロの解説よりも詳しい試合分析がソーシャル上にたくさんあります。今までスタジアムで200試合くらいは見ているのに、全く目が養われないので、ネットの情報とか本とか読んでもう少し理解できるようになりたいな、と思っています。

――ちなみに、ごひいきのチームは?

落合

浦和レッズです。特に気勢をあげることなく、おとなしく見ています(笑)。

――前回、リーダーのオススメの本を紹介したところ好評でした。ぜひお二人にもオススメの本をお伺いしたいです。

落合

オススメの本だと、多くの人が読んでるでしょうが、「FACTFULNESS」、あとは「具体と抽象」。この2つは物事を考えたり、理解するための参考になりますし、「具体と抽象」はコミュニケーションの参考になるなと思いました。

片野

「仮説思考」「論点思考」って姉妹本があるんですが、この「論点思考」はぜひ読んでみて欲しいですね。そもそも取り組むべきではない問題がゴールに設定されていると、チーム全体の努力が無駄になることもあります。そういった、どんな問題を解決するべきか、について、あらゆる角度から掘り下げている名著です。ウチみたいな、やることが多すぎる会社では大切な考え方だと思ってますね。

以上、「バックオフィスとしてのLINE STYLE」について語ってもらいました。皆さんの仕事でも参考にしていただければうれしく思います。

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斉藤 幹晴

PR室で社内広報を担当。2004年にライブドア(現LINE)入社。メディア事業部でスポーツ、映画などのニュースサイト、コンテンツ作りに携わる。現在は社内報の企画編集などに従事。趣味は音楽鑑賞(ジェイコブ・コリアー)、読書(「うしろめたさの人類学」)、自転車に乗ること。