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LINEでは、こうしてます。

LINEが挑戦する「スマホ銀行」とは。新銀行立ち上げの現状とこれから

LINEでは金融領域での新たなチャレンジとして、みずほ銀行とともに、新銀行を立ち上げることを2018年11月に発表しました。

LINEグループのプラットフォームを活用し、ユーザーにより寄り添った新しい銀行のかたちとは?事業の現状や求める人物像について、事業立ち上げの中核を担う3名に話を聞きました。

――まずは自己紹介をお願いします。

ボラ

私は韓国で生まれ育ち、アメリカへの留学後、日本やオーストラリアで働き、その後LINEに入社しました。これまでずっと金融領域に携わってきており、LINEに入る前は日本で企業向けの融資業務、オーストラリアではM&Aのコンサルティングや投資銀行の業務などを8年ほど経験しています。

LINEには2014年、日本とアメリカの同時上場の担当として入社し、2016年からはLINEから他社への戦略投資、特に国内外のベンチャー企業への投資を担当し、2018年からはFintech事業の立ち上げメンバーとして、LINEの新銀行の事業企画を行っています。

竹島

新卒でメガバンクに入行し、企業向けの融資業務や買収案件のファイナンスを担当していました。その後、リーマンショックの際の企業再生支援業務や、関連子会社のシンガポールでのプライベートバンクビジネス立ち上げなどを経験してきました。

転職のきっかけはグローバルに業務を行う中で、国内外で新しい金融サービスが次々と生まれるのを目の当たりにし、金融サービスの変化を強く感じたことです。従来の金融のサービスにテクノロジーを活用することで、多様化する顧客ニーズに対応できるのではと考えました。そんな中、LINEとみずほ銀行での銀行立ち上げの発表があり、迷わずLINEに応募し、2019年2月に入社しました。

入社後は、銀行事業の創業メンバーとして商品・サービスにおける業務構築やIT企画などを幅広く担当する業務推進部で、銀行設立に向けて業務を行っています。

白木

私はみずほ銀行に入行し、営業店を3カ店経験後、本部で銀行証券の金融商品仲介業や中小企業向けのオンラインレンディングなど、主に新しい商品サービスの導入に取り組んできました。

LINEの新銀行事業には、2018年11月の発表前から携わっています。現在はみずほ銀行から出向し、経営管理、財務主計、総務人事といったLINE Bank設立準備会社の運営管理を担当しています。

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左上から白木、ボラ、竹島。在宅勤務期間中のため、オンラインにてインタビューを行いました。

ーーそもそも、なぜLINEが銀行事業を行うのでしょうか?

ボラ

金融業界が技術革新によって、産業構造自体に変化が起きているのは誰もが感じていることだと思います。スマートフォンの普及とキャッシュレス化により、銀行の支店に行く必要がなくなり、手のひらの上で様々な取引が行われるようになってきています。

スマートフォンが支店に成り代わり、金融商品がアプリで提供されることで、実店舗の支店は今後減少していくでしょう。

また、ビッグデータの活用も銀行の業態に大きな影響を与えています。例えば、現状ではローンを借りた顧客には他の金融商品を勧めるといったクロス・セルが中心ですが、今後ビッグデータの活用が進めば、よりユーザーが欲しいタイミングで欲しい情報を提供できるようになり、ユーザーは固定の銀行に縛られずもっと自由に金融サービスを選べるようになると考えています。

そうしたユーザーに選択権がある世の中で選ばれる銀行になるためには、ユーザーに寄り添った商品・サービスの設計と、それらを実装するテクノロジーが必要不可欠です。

LINEでは月間利用者数8,400万人を超えるユーザーベースと、ユーザビリティの高いUI/UXを既に実現しており、高度な技術力を持つメンバーたちも在籍しています。そういった要素から、金融業界の課題にチャレンジしていくことは十分に可能だと考えており、今回銀行事業への参入を目指す運びになりました。

JV先であるみずほ銀行が培ってきた銀行業におけるノウハウを掛け合わせることで、親しみやすく利用しやすい「スマホ銀行」を提供し、銀行をより身近な存在へと変化させる新銀行の設立を目指していきます。

ーー他のネット銀行との違い、LINEだからこそできる強みについて詳しく教えてください

ボラ

銀行はまだまだ敷居が高く、面倒で複雑、特に若い世代にとっては身近な存在とは言えないのではないでしょうか。私個人としても、日本の銀行サービスは海外で使用していた銀行のサービスに比べ、ユーザーにとってはまだまだ不便な点が多く、顧客体験において改善の余地があると感じています。

そのため、LINEが目指す銀行は、今までの常識に囚われない「簡単・便利・わかりやすい」「若い世代にも楽しく・身近」「ユーザーにとっておトク」、そして安心安全なスマホ銀行を目指します。

既存の銀行のシステムをネット上に反映させているネット銀行とは異なり、ユーザーが本当に求める商品・サービスを一から作り上げることができる点も強みだと思います。

実現していくのは簡単ではないですが、LINEの戦略事業である金融事業の中でも、特に銀行事業はコアビジネスと位置付けられているため、会社一丸となって事業立ち上げを行っています。

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ーーLINE銀行事業の現在の状況について教えてください。

白木

CLOSING THE DISTANCE」というLINEのコーポレートミッションのもと、人とお金・金融サービスの距離を縮め、コミュニケーションアプリのLINEを通じ、各種金融サービスをより便利に利用いただくため、2019年にLINE Bank設立準備株式会社を設立しました。

この事業はゼロベースで銀行事業に新規参入しようというプロジェクトなので、銀行業務やユーザーへ提供する商品・サービスを具体的に作り込んでいくのはこれからですが、現状は開業に向けて最速で動いているという状況です。

現在は事業戦略や商品サービスの方向性を固め、事業を立ち上げていくフェーズなので、これから入社いただく方についてもまだまだ銀行の創業メンバーとして、他の会社では経験できないレイヤーの業務・プロジェクトに関わることができます。もちろん大規模な事業立ち上げとなるため、障壁も多いですが、密度の濃い経験になるはずです。

また、LINEとみずほ出向者が一緒に事業検討に取り組んでいるため、双方の企業文化や知見、経験、考え方などを学ぶ機会が多く、私自身も常に新たな刺激を受けながら取り組むことができています。

ーー今、LINE の銀行事業に携わる価値や得られる経験について詳しく教えてください。

竹島

LINEの新銀行では今までの銀行のイメージ、例えば面倒とか敷居が高いといったイメージを刷新し、よりユーザーオリエンテッドな商品・サービスを提供する銀行事業としてチャレンジします。

銀行業は影響力の大きい社会インフラで、監督官庁からの許認可が必要な金融ビジネスです。過去10年間で新規参入が認可され、銀行免許が付与されたのは国内でわずか数行のみ、新銀行の立ち上げメンバーとして携わることは、貴重な経験といえます。

また、新規立ち上げのみならずスマホだけの銀行サービスを作るという前例のあまりない事業展開をするためには、商品やシステムすべてを0から自分たちで作り出さなければならず、簡単な挑戦ではありません。

LINEの新銀行が目指す、ユーザーが金融に本当に求める「利便性」「おトク感」「安心感」を追求するという難しいチャレンジにおいて、0から1を作り出していく事業フェーズに携わることは、役割や立場に関わらず他の会社ではできない経験値が積めると考えています。

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ーー新しく銀行を作る事業で必要となる業務役割、内容についても教えてください

竹島

新規の銀行として立ち上げているので、すべての業務やワークフローを0から作り上げる必要があり、既存の金融機関より業務領域が当然幅広くなっています。

流れとしては、まず事業全体の戦略を練る事業企画、それに沿った商品・サービスを企画する商品企画。企画した商品・サービスを元に具体的にどのような機能が必要で、どのような方法でユーザーに提供するのかを検討するオペレーションまわりの業務が発生します。

また、その商品や機能を実現するためのユーザーインターフェースやその裏側で銀行員がオペレーションに使う画面や業務フロー、銀行システムの構築を行います。既にフローが確立された既存業務というものがほぼありませんので、新銀行として提供する商品・サービスに合わせて1から必要な業務を考えて作り上げていくことになります。

どの業務をとっても、社会と顧客から信頼・信用されなければ行うことができない行為です。LINEではこれまでにない新たな発想で銀行を作るため、ユーザーにとってより利便性が高くなるようアイデアを加えていく必要がありますが、大前提として信用できる商品・サービス、信頼できるシステムであることが重要で、金融業界の制約の中で新たな発想を行えるプロフェッショナルであることがそれぞれの領域で求められています。

ーーLINEの銀行事業には、どういうメンバーが多いですか?社内の雰囲気についても教えてください。

ボラ

事業の立ち上げフェーズということもあり金融機関、特にネット銀行出身者が多いです。ただ、金融領域の知識や経験だけでなく、新しい取り組みを行うために金融以外の部分、例えば企画力や技術的なスキルなど特化した強みを持ったメンバーが揃っているように感じています。

また、目指す事業の方向性として、本当にユーザーの気持ちになって考えることができる人、ユーザーにより良いサービスを提供したいという情熱を持っている人が向いていますね。

入社年月が浅いメンバーばかりなのに加え、会社全体として新しいチャレンジをしているため、一般的な金融業界の企業に比べると、誰でも対等に意見を言い合える雰囲気があると感じます。国籍・年齢・性別・出身会社もさまざまで、ダイバーシティな会社だとも言えますね。

ーーみずほ銀行の出向メンバーも多く在籍していますが、どのように役割分担をしているのでしょうか

白木

前提として、各チームにLINEメンバーとみずほ銀行メンバーが混在して仕事をしており、会社の壁のようなものはありません。対等なコミュニケーションで銀行を一緒に作り上げるという目標に向けて、文字通り一体となって業務を進めています。よく聞かれるのですが、ここからがLINEの仕事でここからがみずほの仕事と、分担が明確にあるわけではありません。

個々人の役割期待として挙げるとすれば、みずほ銀行から出向しているメンバーは金融のプロフェッショナルとして、銀行事業の知識・経験が豊富なので、主にリスク管理や経営管理などのガバナンスの部分をリードしています。

変化に向かっている金融業界ではありますが、規制業種であるのも事実で、金融庁の認可が大前提として必要です。

顧客情報の管理やマネーロンダリングなどの対策などのレギュレーションも相当多い中で、みずほ銀行メンバーは免許取得に必要なノウハウの提供や金融庁との折衝などの経験が豊富なため、そういった必要不可欠な部分を主に担っています。

一方で、LINEメンバーは、個人ユーザー向けのモバイルサービスのリーディングカンパニーとして、どんな銀行を作るかといった事業戦略の立案や既存の銀行にはない顧客体験を生み出す商品・サービスの企画やUIデザイン、システム開発の分野でリードをしています。

またLINEがもっているITテクノロジーやモバイルサービスのノウハウやナレッジを銀行事業に活用できるようにリードしていく役割を担っています。

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ーーLINEの銀行事業に向いているのはどんな人だと思いますか?

ボラ

まず第一に、環境の変化に適応しながら、自ら行動を起こしていけるかどうかは大切なポイントです。日々変わっていく環境の中で周囲を巻き込みながら自ら考えて行動し、常識に捉われずにチャレンジしていけるか、言うのは易しいのですが、実行し続けるのは難しいことだと思っています。

実際に、そうした推進力がある方にしか動かせない場面が多いというのも事実ですね。今までにないチャレンジをしていくためには、他者に対して具体的に説明をし説得ができることや、プロジェクトの中心になってマネジメントする能力も必要になってきます。

逆に、私たちの現在の事業フェーズでは、変化を好まなかったり、型が決まった業務を行っていきたい方には向かないかなと思っています。

LINEの強みを最大限に生かすためにも、金融業界の出身者でも、既成概念にとらわれないデジタルな思考をもっていることは大切です。

例えば、ユーザーサービスやそれを実現するための銀行業務を考えるうえで、モバイルサービスとしてより便利にしていく手段や、システム的に実現可能なアイデアなのか、といった視点で考えることが重要です。

ーー最後に、少しでも応募を検討してくれている方へのメッセージをお願いします。

ボラ

LINEの銀行事業では、世の中が金融に対して感じている「難しい」「複雑そう」といったイメージを変えようとしています。銀行を作っていく経験は、人生でなかなかできるものではないと思います。ビジョンに共感いただけるみなさんと一緒に働けるのを楽しみにしています。

竹島

金融起点ではなく、「ユーザー」と「デジタル」を起点としてできる銀行は、次世代の銀行になりえると思います。日本の金融を変えていく、そんな考え方に共感いただける方たちは是非ご応募ください。一緒に働けることを楽しみにしています!

白木

皆さんも、普段利用されている銀行に何かしら不便を感じたり、こんなことができたらいいのにと思ったことがあるのではないでしょうか。この銀行事業はその想いを形にできる数少ない機会です。是非一緒に理想の銀行を作っていきましょう!

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桃木 耕太

2013年にLINEに中途で入社、今は開発組織と採用組織でWebサイト/コンテンツやイベントの企画/制作などをしてます。