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「不便をなくしたい」 LINERの仕事を効率化する、現場エンジニアたちの想いから生まれたソリューション

Global WOW Project Awards」の受賞プロジェクトは、どうやって「WOW」な成果を生み出すチームになっていったのか。各プロジェクトのメンバーに、成果に至るプロセスを詳しく振り返ってもらい、そのヒントを探ります。(上記写真左より、パク・カンヨン、イ・ジェモク、PjM(プロジェクトマネージャー)のチェ・ジェウォン。)

  • LandPressとは

    LandPressは、開発者なしで誰でも簡単にサイトを作成・編集することができるプラットフォーム。サーバーなしでウェブサイトの作成やデプロイやコンテンツ管理などのウェブサイト運営を行うことができる。2021年の1年間では、2,300以上のサイト作成の実績がある。

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LandPressのネーミングは、UIT全体で投票して決めたそう。「Landing Page Press」、簡単に作ろう、リリースしようという意味。

LandPressの始まりは、自分たちのため

――LandPressはボトムアップで始まったプロジェクトだと聞きました。プロジェクトの始まりを教えてください。

ジェウォン

LandPressは、もともと、自分たちの不便さを解消するために始まったプロジェクトです。

私たちUITは、いわゆるウェブサイトを制作するチームなんですが、いつも繰り返される作業をしながらサービスをローンチしていました。私たちは「繰り返される過程」に課題意識を感じていました。それで、「繰り返される過程」を自動化すれば良いと考えました。

これを社内のエンジニアが使えば、他のエンジニアや組織がもっと創造的な仕事に時間を充てることができます。そこでプロトタイプを上長に見せたところ、良いコメントをもらって本格的にプロジェクト化しました。

――エンジニアの悩みを解決するためにできたもの、それがLandPressだったんですね。

ジェウォン

LandPressは、「Deploy」「Contents」「Studio」という3つのプラットフォームを持っています。

そのうち、LandPress Deployを最初に作りました。エンジニアの手を借りなくてもウェブサイトのリリースのための作業ができるようになるものです。サービスづくりにはデプロイが必要で、エンジニアの作業が要ります。エンジニアの手を借りずにデプロイができれば、エンジニアがルーティンから解放されると思って最初に作りました。

次に作ったのがContentsです。これがいわゆるCMSと呼ばれるもので、ウェブサイトのコンテンツを構成するテキストや画像、レイアウトテンプレートなどを一元的に保存・管理できるシステムです。日々変わるウェブサイトの内容に対応していると、エンジニアはまたルーティンに陥ってしまいます。そこで、マーケターやプランナーが直接自分で作業してウェブサイトの内容を変更できるように、LandPress Contentsを作りました。

そして最後にリリースしたのがLandPress Studioです。このStudioがあれば、開発経験が全くない方でもコード不要で自分でウェブサイトを作ることができます。簡単なページを作りたくても社内リソースがなく、外注しているケースが多く見受けられます。そんな課題を解決したくて、このStudioを作成しました。

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LandPress Studioは2022811日にリリースしたばかりのプラットフォーム。

ユーザーにフィードバックを聞いて作り上げた

――LandPressの仕様はどのように決めたのでしょうか?

カンヨン

一番仕様に悩んだのが、LandPress Contentsと呼ばれるCMSのプラットフォームです。実は、最初は外部のオープンソースを活用して作ったんです。でもいざ使ってみると、使い勝手やパフォーマンスなどがLINEのメンバーが求める要件に合わなくて......。それで、やはり自分達で一から作り直そうということになりました。

ジェウォン

でも作り直すことをすぐに決断できたわけではありません。潤沢なリソースを持っていなかったので、今すぐに作り直し始めるか、少し様子見てからなのかは意見が分かれて悩みました。チームで議論を重ねた結果、まずはそのオープンソースをもとに作ったものを土台にして、フィードバックを聞きながら作り直そうということになりました。新しく作ることに不安もありましたが、カンヨンさんが「私たちなら開発できるよ!」と力強く言ってくれて。実際に、1人で5人分くらいの役割を果たしてくださっていたと思います。

カンヨン

もしこの決断をしなければ、これ以上LandPressは発展できないだろうと考えていました。だから「絶対に作りたい、作らなければ」と思っていました。もし何か大きな壁に当たったとしても、頼もしいチームメンバーが一緒に支えてくれます。私たちのチームが協力的な雰囲気だからこそ、大丈夫だからと強く主張できました。

――新しい仕様はどのように決めましたか?

ジェウォン

まずは周囲のエンジニアに使ってみてほしいと、一人ひとりにお願いをして回って、フィードバックやユーザーニーズをたくさん集めました。社内イントラでプロジェクト名を検索してみて、「これならLandPressで解決できそうだ」と思ったら、Slack DMを送ったりもしました。

ジェモク

データ分析するほど多くのデータも揃っていなかったので、とにかくアジャイル*に改善を繰り返し、ユーザーのフィードバックはすぐに反映させました。意見はみんなで出し合いながら、決定は素早く行い、ブラッシュアップを続けていきました。

*アジャイル開発:開発手法の1つで、「計画設計実装テスト」の工程を、短期間の小さいサイクルで回す方法。今回は、ユーザーのフィードバックを聞きながら、実装し...を素早く繰り返した。

とにかく話してみて、ひたすら対話を繰り返す

――チームの会話が活発的なことがインタビューからも伺えてきます。一緒に仕事をする上で、どんなことに気をつけていますか?

カンヨン

そうですね。いまはリモートワークで基本的にSlackでやりとりしていますが、少しでも疑問に思ったり、話すことが少し溜まってきたりしたら、いつでもすぐにZoomで話すようにしています。話の伝わり方って、どんなニュアンスか、どんな表情か次第で変わってしまいますよね。だから誤解なく相手に伝わるように心がけていますし、互いに尊重し合う姿勢で話しているのが大きいかなと思います。07
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ジェウォン

私が好きなことわざで「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」というものがあります。LandPressは遠くを目指すプロジェクトです。プロジェクトは人と作るものであって、人との関係がよくないと良いものが作れません。とにかく、どんな人でも話してみて意見を拾い、スピーディに決定して、ひたすら進めていくこと。これを実践しています。

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LandPressの名前にかけて、LunchPressという名前でランチ会を開催。20個くらいの興味別のグループに分かれて実施したそう。

ワクワクしなければ、仕事じゃない

――チームメンバーと楽しみながら進めていたことがよく伝わってきます。

ジェウォン

自分が面白いと感じなければ、そのプロジェクトはうまくいかないものです。プロジェクトが厳しい状況になると精神的にも辛くなってきますよね。LandPressはすぐ近くのメンバーからフィードバックをもらえたので、それが支えにもなっていました。

自分が頑張って作ったLandPressがいろんな組織で使われて、ルーティンワークがなくなっていく......これが本当にワクワクしました。やりたいことにもドライブがかけられ、新しい挑戦もできましたし、何より楽しみながら作れました。

もっと社内でも、エンジニア自らが作りたいものを作れるような動きができたらいいなと思っています。ついエンジニアはサービス開発に追われがちかもしれませんが......でも、自分でものを作るって楽しいですよね。

カンヨン

LandPressを作る中で改めて思いましたが、常にワクワクして挑戦する気持ちをDNAとして持ってないといけないと思っています。新しい挑戦を楽しめなかったらサービスを作ることも辛くなってしまって、今後の発展もなくなってしまいます。だからこれからも、常に新しいものを楽しんでいかねばと思っています。

ジェモク

LINEのエンジニアは、ルーティンではなく、新しいものを作るのが好きだという人たちが多いですよね。LandPressは、ユーザーニーズも具体的でないところから始まって、まさにゼロイチで作ってきたサービスです。このLandPressを作ること自体が新しい挑戦で、楽しめたと思います。

――ありがとうございます。では最後に、今後LandPressを通じて成し遂げたいと思っていることを教えてください。

ジェウォン

LandPressは、エンジニアの反復的で不便な業務を解決しようというミッションで始まったものです。これからもLandPressを基盤に、常に不便を探して解放させていきたいです。

カンヨン

ジェウォンさんと同じで、エンジニアたちの作業を楽にすること、組織の発展に貢献することが目標です。LandPressで全てのLINERの業務効率性が高まることを願っています。

ジェモク

社内でLandPressをたくさん使ってもらって、良い評価を得られて、やりがいを感じられるような良いチームと一緒に作っていけたらいいなと思います。

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松永 理沙

PR室で社内広報をしています。2019年よりLINEに入社。スピーチやコピーライティング、PRなどの企業のブランド活動に携わってきました。休日は漫画、ゲームばかりで、長男・夫とインドアに過ごしてます。旅行も好きで、関東と中部圏のロープウェイは制覇しました。ダムも詳しいです。